私たちは、痛みや違和感を感じたとき、その場所に原因があると考えがちです。
しかし、整形外科領域では、症状が現れる部位と実際の原因が異なることが少なくありません。
この現象を「関連痛」や「放散痛」と呼び、正確な診断と適切な治療、特に運動療法の選択にはこの知識が不可欠です。
代表的な例と運動療法のアプローチ
- 坐骨神経痛:
- 腰部の椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症が原因で、脚に痛みやしびれが現れることがあります。この場合、痛む脚だけを治療しても根本的な改善は難しいです。運動療法では、腰椎周囲の安定性を高める体幹トレーニングや、姿勢改善、神経の滑走性を向上させるストレッチを行うことが効果的です。
- 肩の痛み(頸椎由来のケース):
- 頸椎の神経圧迫が肩や腕の痛みとして現れる場合、運動療法では頸部の可動域改善、頸椎周囲筋の安定化エクササイズ、姿勢矯正を行います。肩周囲のストレッチや筋力トレーニングも併せて行うことで、症状の軽減が期待できます。
- 膝の痛み(股関節由来の場合):
- 股関節の変形性関節症が膝痛を引き起こすこともあります。この場合、膝自体よりも股関節の可動域改善や筋力強化が重要です。特に中殿筋などの股関節周囲筋を強化することで、膝への負担を軽減できます。
運動療法の重要性
痛みの部位だけに目を向けるのではなく、「なぜその痛みが出ているのか」という視点で全身のバランスや動作パターンを評価することが大切です。
運動療法は、症状の改善だけでなく、再発予防や姿勢改善、全体的な機能向上にも寄与します。
まとめ
症状と原因が一致しないことは珍しくありません。
そのため、適切な診断とともに、運動療法を通じて根本的な原因にアプローチすることが重要です。
痛みがあるからといって安静にしすぎず、専門家の指導のもとで適切な運動を取り入れることが、早期回復への鍵となります。
